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LovelyzとLOOΠΔ(今月の少女)はひとりの同じ人物から生まれた姉妹グループだった ...2つのガールズグループを生んだプロデューサー、チョン・ビョンキ氏が思い描く音楽の理想の未来とは?

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私が初めてLOOΠΔの音楽に「Lovelyz」を感じたのは、新曲「Love & Live」のTV CM Ver.を見た時のことでした。

このティザーにはMV本編にはないこの映像のためだけの導入部が置かれています。そして、ここで聴かれる生ピアノのアルペジオに、Lovelyz「Ah-Choo」のイントロに通じるものを強く感じたのです。また、その後のサビのコード進行は同じくLovelyzの「Hi-」に近く、オケのシンセサウンドはやはり「Ah-Choo」の伴奏を想起させました。




やがて、MV本編が公開され明らかになった「Love & Live」のイントロは、あたかもLovelyzの1stアルバムのリード曲「Introducing The Candy」やそれに続く「Candy Jelly Love」を思わせるような期待感を持たせる響きをもっていました。要はLOOΠΔ1/3の「Love & Live」はLovelyzの初期3部作のオマージュとも言える匂いを漂わせていたのです。

そのため私は当初、「Love & Live はもしかしたらユン・サンの1Pieceの作ではないか?」と思ったほどでした。ただ、サビのコード進行はMonoTree ファンヒョンさんの得意とする進行そのものだったのと、ファンヒョンさんとユン・サン氏はかつて交流があったと知り、ユン・サン氏の影響を受けたファンヒョンさんの作なんだろうと結論づけました。

後に「Love & Live」はやはりファンヒョンさんの作品であるとわかりましたが、それにしても、あの全体に漂う“Lovelyz感”は何なのだろう?という思いはぬぐい切れずにいました。


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そんな折に目にしたのが、数日前にご紹介したこちらのブログ記事でした…。




私はこの記事の内容に目を通したあと、しばらく呆然としてしまいました。LOOΠΔにはやはり、すべてを掌握する特別なプロデューサーがいたという事実。そしてそのプロデューサーがWoollimの取締役として、初期Lovelyzに大きく関わっていたという事実には、それ以外のことが考えられなくなるほどのインパクトがありました。

つまり、LovelyzとLOOΠΔは、同じ一人の人物によって生まれた異母姉妹グループだったのです。両グループを生んだその人の名はチョン・ビョンキ。ビョンキ氏はかつてはJYPに身を置き、初期の2PMの活動に大きく関わっていました。今でも代表作である「Hands Up」や「Take off」など、その前後の曲はビョンキ氏のプロデュースです。

ビョンキ氏は2PMが日本デビューする際に、「アジア No.1野獣アイドル」のコンセプトは日本には合わないと、大胆なイメージチェンジを図り、愛らしく親しみやすいグループとして日本で売り出したのでした。当時の韓国ファンはあまりの激変に戸惑ったといいます。また2PMのメンバーたちも、その頃が気恥ずかしくて黒歴史になっているそうです(笑)

そのぐらいにビョンキ氏は2PMに対して実行権をもっていました。また、ビョンキ氏のそうしたプランニングがあったからこそ、2PMはここまで日本で愛されるグループになったと言えるかもしれません。


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JYPを去ったのちのビョンキ氏は、2012年頃から今度はWoollimに身を置き、そこで事務所の男性グループINFINITEに力を注ぐようになりました。当時のライナーを読むと、ビョンキ氏がいかにINFINITEに真剣に取り組んでいたかがうかがえます。

ちなみに、2PMファンの私の妹は、最初、2PMとINFINITEのどちらのファンになるか迷ったと言います。この2グループは他の多くの男性グループとは何かが違っていたそうです。「どちらも同じプロデューサーが作った子供だよ」と事情を私が説明すると、目を丸くして合点がいったというように、ただ大きくうなずいていました。


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そしてビョンキ氏はINFINITEと並行して、今度は事務所初のガールズグループに着手しました。それが、INFINITEの妹グループとして売り出されることになるLovelyzでした。Lovelyzデビューの2年以上前、ビョンキ氏はのちにグループのリーダーとなるBabySoulさんのユニット曲を制作リリースしました。そして実はこの曲は、ビョンキ氏がWoollimにやって来て最初の仕事でした。


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ベビーソウル+ユージア[彼女は浮気者だ]
2012年1 18. Woollim Entertainment

この曲のライナーノーツには、ビョンキ氏がイメージするガールズグループ像が早くも示されています。

より長い時間が経過した後、このグループの意図とビハインドストーリーを話すことができますが、
とにかく簡単に言えばミステリーな女性グループを作成すること。
情報過剰の時代。あまりにも多くのものを簡単に知ることができ、情報があふれる時代に、
最も未知の女性グループを作りたかったのです。著者Jaden Jeong (チョン・ビョンキ)




また、翌年にはやはりのちにメンバーとなるジエさんとJINさんのソロ曲をリリースしています。

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ユジエ[Delight]
2013.4.24. Woollim Entertainment

セクシーさが排除された美少女を作ろうと考えた。
いつからか女性の美しさでセクシーが最も重要な部分になり、
さらに現れるセクシーさが美徳になってしまいました。
セクシーさが排除された古典的な意味の美少女音楽を思い出した。
だから誰もユジエを考えると
正確に浮かぶイメージを作ってあげたかった。
色のない新人女性歌手、そんな一般的な女性歌手、
ぴったりな自分だけの色を得ました。著者Jaden Jeong




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JIN[君しかいない]
2013.11.8 Woollim Entertainment

ガールズグループのデビューをさせる前に、
一人一人の少女をシングルでリリースする予定です。
今のパズルのピースは、多く合わせたので、
あとは開始だけが残りました。著者Jaden Jeong




これら3つのライナーに、すでに未来の「今月の少女」につながるビジョンが明確に示されています。

情報過多の時代にミステリアスで、セクシーさが排除された古典的な美少女グループを作りたい。
ガールズグループのデビューをさせる前に、一人一人の少女をシングルでリリース。
より長い時間が経過した後、そのグループの意図とビハインドストーリーを話す。
パズルのピースが合わさったあとは、グループの開始だけが残る。




そして2014年、満を持して発売されたLOVELYZ [Girls' Invasion]

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2014. 11. 17. SM C&C Label Woollim
[출처] LOVELYZ [Girls' Invasion]|작성자 Jaden Jeong


2015年には2枚のアルバムをリリース

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Lovelyz [Hi~] 2015. 3. 3. SM C&C Label Woollim
[출처] Lovelyz [Hi~]|작성자 Jaden Jeong


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Lovelyz[Lovelyz8] 201510.1. SM C&C Label Woollim

個人的には愛着がいっぱいのアルバム。

イントロから最後の曲まで
ひっそり
2015年の私の個人的な好みに
いっぱいにした。
[Lovelyz8] 著者Jaden Jeong




アルバム「Lovelyz8」とその後のJOO 「울고 분다」を最後に、ビョンキ氏はWoollimを退社。

そして、翌2016年の初めにフリーランスとして手掛けた大仕事がこれでした。
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SMとJYPという大きな事務所の垣根を越えたコラボが大変な話題となった、スジさんとベクヒョンさんの「Dream」です。この大型企画を任され形にしてしまうことが、ビョンキ氏の業界での力の大きさを示しています。
また「Dream」は流行りの安っぽい音楽とは程遠い、良質で長く愛されるであろう大人の音楽でした。


この大仕事のあと、ビョンキ氏はポラリスとの関係が密になり、LADIES CODEのアルバムを手掛けました。
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Ladies Code[MYST3RY] [MYST3Re:]
2016. 3. 30. Polaris Entertainment, BlockBerryCreative

事実アルバムを作る過程での
私の考えを
多くの記録に残す方だ。
それを他の人とは共有しないだろう。
ただ一人だけの記録であるだけ。

ところが
このアルバムは非常に遠い将来
私を知らない人にでも
この時の考えを
共有したい気持ちがした。

多くの人が分かってくれなくても
音楽的な欲のために
進行することになることがある。

そしてそのようなものは、
時間が経つにつれ、
私が音楽をする意味をより見つけてくれる。
著者Jaden Jeong





同じ年の10月、今月の少女の最初のアルバムとなる、ヒジンさんの「ViViD」がリリースされました。

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今月の少女[HeeJin]
2016年105. BlockBerryCreative


ビョンキ氏は今作で初めて、A&R以外の肩書を記しています。

A&R、
Creative Director、
Music Producer



そして、待望の「今月の少女」の開始にさぞ熱いライナーを記すかと思いきや、残されたのはこの一文のみ。


「時間だけが知っている答え。」


シンプルなだけに、かえってそこに込められた思いの強さを感じます。

以前、芸能記事でブロックベリーの関係者が今月の少女について次のような(概要)コメントをしていました。

『多くのK-POPのガールズグループは音楽番組で1位を目指し活発な放送活動をするが、今月の少女は理解する者だけが集う閉鎖的なグループになるだろう。音楽番組にも出るが最小限にとどめる。またメンバー編成は12人としているが確定ではない』


【Lovelyzのデビュー前にビョンキ氏が明かしたガールズグループのビジョン】

情報過多の時代にミステリアスで、セクシーさが排除された古典的な美少女グループを作りたい。
ガールズグループのデビューをさせる前に、一人一人の少女をシングルでリリース。
より長い時間が経過した後、そのグループの意図とビハインドストーリーを話す。
パズルのピースが合わさったあとは、グループの開始だけが残る。



たしかなことはこうしたビジョンのみであって、プロジェクトは流動的な面も持っているように感じます。
「時間だけが答えを知っている」のです。
ビョンキ氏にとっては何人編成など、外形的な事柄は重要ではないのかもしれません。
大事なのはそこを貫くコンセプト。ぶれないビジョン。

あえてフリーランスという立場で臨む「今月の少女」プロジェクトに、ビョンキ氏は音楽人生をかけているのかもしれません。「今月の少女」にはビョンキ氏の音楽人生の夢が詰まっているのです。



Lovelyzと今月の少女は音楽的にも異母姉妹グループなのか?


今回の記事を書くにあたり、ビョンキ氏に関する記事にひと通り目を通し、また、Lovelyzと今月の少女の楽曲をそれぞれすべて、リリース順に聴き直しました。

そこで得た結論。

Lovelyzと今月の少女は、音楽的にまったく違うタイプのグループでした。
たしかに、「Love & Live」にはLovelyzの過去の楽曲の要素が詰まっています。また、ビョンキ氏がガールズグループに対して抱く理想やコンセプトにおいても、共通する部分が多くあると思います。

しかし、Lovelyzと今月の少女の音楽は根本的にまるで違う。
音楽が違うばかりでなく、メンバーの個性、ボーカルキャラクターなど、グループの在り方が異なっています。
そして何より、ビョンキ氏は今月の少女でLovelyzと同じことをやろうとしているとは感じられません。

WoollimでLovelyzを通してやろうとしたことは、自身が満足を得た「Lovelyz8」で一応の完結を見たのです。
そこでやれることは尽くしたのです。

「Lovelyz8」のラストを飾る「ラプンツェル(라푼젤)」。
この壮大で異次元的魅力をもつ楽曲は、WoollimでLovelyzを通して仕事した氏の総決算だったと思います。


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ただ、LovelyzもLOOΠΔも、1位を獲ることを至上とした煽情的で画一的な、中毒性のあるフックソングよりも、人の心に深く浸透し、長く愛される音楽をめざす…という意味では共通しているかもしれません。それがビョンキ氏の音楽に対する姿勢です。

また、例えばLovelyzのデビューに先行して、ジエさんのようなタイプをソロでデビューさせる感性は、ViViさんにもソロをとらせる今月の少女1/3のスタイルに通じるものがあるかもしれません。
ビョンキ氏は声量で圧倒するパワーボーカルばかりがボーカルではなく、もっと個人の声色や個性を重視したリリックで、センシティブなボーカルが見直されるべきだと思っているのでしょう。歌の多彩な在り方をわかっている方だと思います。


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Lovelyzと今月の少女が音楽的にダイレクトにつながっていると感じるのは「Love & Live」のみです。しかし、音楽の背後にある精神性という意味においては、やはり異母姉妹と言ってもおかしくはないと思います。同じ人物が手掛けているのですから、それはもちろんどこか通じるものが生まれるというものです^^

あと、ビョンキ氏が去ったあとのLovelyzのアルバムに関してですが、たしかに初期3部作のような大林信彦監督的ジュブナイル感は薄まったものの、3部作にはなかった様々なカラーが出ていて私は大好きです。「 A New Trilogy」には「Doll」という忘れがたい名曲があります。「R U Ready?」には「Cameo」に代表されるような心浮き立つ楽しさがあります。ラストのジエ&ジスの「私の恋人」も最高ではないですか?(よく考えて見ると私はジエさんが活躍する楽曲を好んでいるようです)

ですから、LovelyzはLovelyz、LOOΠΔはLOOΠΔとして楽しめばいいのではないでしょうか? ^^




チョン・ビョンキ氏が思い描く音楽の理想とは? 自身のブログと制作した楽曲から探る


ビョンキ氏のブログには音楽業界の在り方についての考察や、洋楽からJ-POPに至るまで、実に様々なジャンルのアーティストのMVを取り上げ、自身の感想を綴った記事が多数あります。
http://blog.naver.com/gxxd

Pink Floydのロジャーウォーターズと、中森明菜さんの記事が並んでいるのには笑いました^^ J-POPに対しての造詣の深さにも驚きです。赤い自転車から山下達郎さん、橋本環奈さんまで、時代やジャンルを超えて縦横無尽に語っています。

AKB商法やCDというメディアの存在意義についての考察は、日本人としては耳が痛いところがあります。また、他ならぬK-POPのアイドル界も、段々と日本式のアイドル文化に傾斜しつつあるのを危惧しています。特定のファンダムに同じCDを何枚も売りつけるシステムが、結果として全体の楽曲のクオリティを低下させたと述べています。

また、あれだけ多方面の音楽について語っているのに、K-POP曲についてはひと言も触れていません。チャートを賑わすK-POPの画一的なダンス曲には興味がないようです。考えて見れば、ビョンキ氏が近年手がけたLovelyzやLADIES CODE、そしてLOOΠΔの音楽にはそうした要素はほとんど見受けられません。チャート至上のK-POPという枠に括れない、豊かな音楽性を持っています。


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ビョンキ氏の制作した作品と、自身のブログから感じられるのは、音楽に対する真摯な姿勢と強い愛です。ビョンキ氏は音楽を愛するがゆえに、利益追求の道具とはしたくないのです。ただ売れればいい、ただ1位をとってもてはやされ、儲けを得られればいいという考えは微塵もないのです。

それより、人の心に深く届き、潤し、長く愛されその人の支えになるような音楽を目指しているのです。現在、スタンダードとして残り愛される楽曲は、必ずしもリリース当時にチャートを賑わし大ヒットしていたとは限りません。むしろ一過性のヒット曲よりも、徐々にファンに発掘され、浸透していく音楽の方が長いスパンで見れば強いということもあります。

渋谷系の源流ともされるロジャー・二コルスなどは、その典型と言えるでしょう。



ビョンキ氏はブログで中森明菜さんの「少女A」について語っています。

「I Love You」を「月が美しいですね」と翻訳した
夏目漱石の逸話がある。

その頃の夜を一緒にするくらいなら
「月が美しいですね」と言うだけで十分である
信じるかどうかの話。

だが、その話の中に
切なさが込められている。

最近のように心に込めておくことは薄れて
直接的な表現だけが
感情の存在と信じてしまった今では
とても信じがたい切なさである。

かつて少女アイドルの原型を見せてくれた
中森明菜の歌の中の歌詞でも言う。

「特別じゃないどこにもいるわ わたし少女A」




詞に置いても音楽においても、今よりもっと感性豊かで多彩な表現のあった80年代アイドルの神髄を氏は理解しています。やがて、90年代にアイドルは衰退し、モーニング娘。を経て復活した現在の日本のアイドル文化は、AKB商法によって画一化された内容の乏しいものになってしまいました。

そんな時流の中、日本の今のアイドルとは違う、さらに自国のK-POPの主流とも違う、感性豊かな80年代アイドルの古典的な美少女観を現代に復活させるべく立ち上げたのがLovelyzであり、さらにそれを究極まで推し進めたのが「今月の少女」なのです。


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ヒジン / ViViD

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ヒョンジン / Around You

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ハスル / 少年、少女

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ヨジン / Kiss Later

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LOOΠΔ 1/3(今月の少女 1/3) / Love & Live


「今月の少女」はまさに、現在進行形のビョンキ氏の最新プロジェクトです。
1/3」と明記されているのは、ユニットには全体のまだ「1/3」しか表れていないことの表明です。
つまり、「今月の少女」の背後には、今は明らかにされていない「2/3」「3/3」が控えていることになります。

これらがひとつずつ明かされる過程で、ビョンキ氏が音楽に対して抱く理想が更に明らかになっていくでしょう。

メンバーのヒョンジンさんは、ユニットはそれぞれにコンセプトが違うと言っていました。それらのパズルがひとつになった時、ビョンキ氏が思い描く理想の美少女グループ「今月の少女」は完成するのです。


「時間だけが答えを知っている」


これからチョン・ビョンキ氏が「今月の少女」を通してどんな夢を見せてくれるのか?
2018年4月と言われるLOOΠΔ完全体のデビューまで、じっくりと楽しませていただきたいと思います。

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Category: K-POP
Published on: Thu,  30 2017 17:07
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